今日、こうして私が社会的養護の現場に身を置いて従事できるのは弁護士平湯先生のサポートがあったからです。
その平湯先生が昨年12月に逝去されました。
こころからご冥福をお祈り申し上げます。
平湯先生は、少年法、虐待防止法をはじめ子どもの福祉に関わる法律の制定や子どもの権利擁護に関することなどに携わってこられた方です。
平湯先生の書いた詩をご紹介します。
詩作(伊東わかば=平湯氏のペンネーム=詩集ー子ども、歌、平和から)
暮らしと子ども
夜疲れて帰った母親は
皿に盛ったカレーライスを半眠りの子どもがひっくり返した時
「いつもドジなんだから」と叱って子どもを泣かす。
病気の母の代わりに夕食を用意した兄は
ひとり半分ずつのコロッケを弟が一口で食べてしまったので
「いっぺんに食べるんじゃない」と大声で叱って弟を泣かす。
雪が降ったので暮れのボーナスをはたいてゴム長を買ってきた父親は
すぐにも子どもに履かせたい。
それを母親が「せっかくだからお正月まで待ったら?」と口を挟んだので
「俺の気持ちがわからないのか!」と怒鳴って、子どもを泣かす。
家が商売をやっているので、子どもはお客さんの家に届け物をする。
叱られて届けに行った先の叔母さんが
「ごくろうさま」とバナナを半分くれたっけ
家の中が複雑になっても、外で子どもは楽になる。
きのうの新聞の記事だ。
冷蔵庫にいくつかあったアイスクリームを子どもが全部食べてしまって
失業中でイライラし通しの若い父親は
「俺の分を勝手に食べた」と逆上して殴りつけ、子どもに大怪我をさせたという。
ここまでになる前に
気持ちを楽にしてくれる叔父さん達はいなかったのだろうか。